2017年9月11日 仕事
煙突の無い小型給湯器
代表の山本です。
前回、煙突の役割について簡単に説明しました。
何かを燃やすことによって熱エネルギーや動力を得る為の燃焼装置、燃焼機器には、煙突や排気筒が必要不可欠であると説明しましたが、昨今の私たちの家やマンションで使用している小型給湯器には煙突や排気筒がありません。今回はこれについて説明してみたいと思います。
私たちの家やマンションに現在取り付けられている一般家庭用の小型給湯器といえばこういうものが主流になっています。
小型給湯器では、前回少し触れました強制排気型(FE式)、また給気側もファンによって空気を送る強制給排気型(FF式)の登場で、煙突に期待するドラフト効果をモーターの動力で補う事ができるようになり、これを屋外に設置することで煙突や排気筒が不要になり、一般住宅ではめっきりその姿を見なくなってしまいました。
さらに、潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)、オール電化住宅での熱交換式給湯器(エコキュート)などの普及に伴い、現在の新築一戸建てやマンションでは、これらを前提とする設計がなされており、一般住宅向けの排気筒需要は下降の一途をたどっています。
ちなみに、潜熱回収型というのは高温の排気ガスを熱交換器に当ててあらかじめ熱するための水を温めたりする。鍋に水を入れてコンロでお湯を沸かすとき最初の水が少しでも暖かい方が早く少ない燃料で沸かすことができるという理屈で、効率を高める仕組みになります。この原理は、業務用ボイラーにおいても採用されており、排気ガスを熱交換器に当てると排気温度が下がることから、煙突にドラフト効果を求めない方向にいっています。ただし、一般家庭用と違い排気量が多いため地表に直接出すわけにはいかず、排気温度が下がるといっても気温程は下がらないので、煙突として上に出しています。
現在弊社の主力に近い存在になっている小型~中型大型ボイラーにおいてもボイラーの潜熱回収技術が高められることによって、ますます排気温度が下がりドラフト効果を期待しない方向に進んでいく可能性があると考えています。
それでも、ドラフト効果を期待した煙突のついた燃焼装置、燃焼機器は様々なところで活躍しています。たとえば、一般家庭用小型給湯器ではドラフト効果をモーターの力で補っていることから、電力を必要とし電気代もかかりますが、電力供給が困難な場所やモーターでの給排気が難しいサイズや温度のものにおいては、自然原理である煙突がまだまだ使用されています。
ビニールハウスや学校、公共施設、暖炉、小型~中型大型ボイラーなどなど、弊社の守備範囲であるステンレス製煙突だけでも様々なところに使用されています。
これらの煙突も含め、国の制度や補助金、技術革新などによる需要構造の変化に対応し、弊社で製作している煙突の割合や内容もあわせて変化していっています。